分散投資

みなさんこんにちは!

「マーケットゲーミング」をご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、投資をするにあたって必修科目である「分散投資」について取り上げていきます。

「リスク」とは「不確実性」

「投資には、リスクが付きもの」とよく聞きますが、普段私たちが「あぶないもの」や「危険性」を指す「リスク」と、金融の分野で用いられる専門用語としての「リスク」では少し意味合いが異なります。

たしかに、「元本を失いかねない」という意味では「危険」と言えるかもしれません。

しかし、金融の世界における「リスク」とは、「元本が減るかもしれないということよりも、それ以上に、儲けられるかもしれない」という意味合いが強く、「不確実性」のことを指します。

具体的には、価格変動の振れ幅(ボラティリティ)のことです。

リスク・リターンと分散

一般的に、リスクとリターンは表裏一体の関係にあります。

そのため、基本的にリスクが大きい運用はリターンも大きくなり、リスクが小さい運用はリターンも小さくなります。

しかし、リスクが低く抑えたまま、リターンを大きくすることも可能です。

このリスク軽減手法の代表格が「分散投資」です。

分散投資には、さまざまな金融資産に投資をする「資産分散」と、買うタイミングを分散させる「時間分散という2つの手段があります。

資産分散

相場格言の1つに「卵はひとつのかごに盛るな(Don’t put all your eggs in one basket)」というものがあります。

1つの「かご」に卵を全部盛ってしまうと、その「かご」を落とした時に、すべての卵が割れてしまうかもしれません。しかし、複数の「かご」に分けて卵を盛っておけば、そのうちの1つの「かご」を落としてしまい、その「かご」に入っていた卵が割れてしまっても、他の卵は影響を受けずにすみます。

つまり、いくつかに分けて卵を盛った方がよいということから、特定の商品ではなく、複数の商品に投資してリスクを分散するのが賢明であるという教えです。

そのため、資産分散の方法として、複数の有価証券を組み合わせる方法が挙げられます。

これは、金融資産への投資比率を決定する「現代ポートフォリオ理論(Modern portfolio theory, MPT)」に基づいており、リスクを抑えながら一定のリターンを得るためには、多数の銘柄や複数の資産に分散して投資することが有効であることを示した理論です。

この理論は1952年にハリー・マーコウィッツ氏によって発表された論文研究を発端に研究され始めたのですが、1990年にノーベル経済学賞を受賞しています。

時間分散

続いて、金融資産を分散するのではなく、買うタイミングを分散させる手法についてです。

価格が変動する商品に投資する場合、価格が安い時に買って、高い時に売るのが理想ではありますが、完璧なタイミングで売買することは非常に難しく、プロでも難しいのが現状です。

例えば、あらかじめ決まった日に決まった金額で買い付ければ、日々の金融市場が大きく上下するようなことあったとしても、値動きに応じて、価格が高い時期には少なく、価格が低い時期には多く買い付けることができます。

長期で見れば、一回あたりの投資価格は平準化されていきますので、短期的に急な値下がりなどが生じたとしても、損失の程度を軽減することが可能になります。

購入タイミングを複数回に分けることで平均取得単価を引き下げるという、この時間分散効果を体現しているのが積立投資なのです。

ドル・コスト平均法

定額での買い付けを定期的に行えば、計画的な貯蓄方法の1つとしても優れており、非常に実行しやすいものとなっております。

投資するタイミングを分散する手法としては、「ドル・コスト平均法」が有効です。投資するタイミングを分散させることで、リスクを低減させることができます。

また、一括の投資に比べて、金額の面では、ドル・コスト平均法だと時間がかかってしまいます。

しかし、時間をかけることによってリスクを管理できると考えるならば、「時間を味方につける手法」という意味合いが強いのかもしれません。

出所:野村アセットマネジメント『コツコツと始めたい。つみたて投資のはなし。』

金融庁のホームページにもドル・コスト平均法について解説されていますので、詳しくはこちらを参考にしてみてください。

分散投資の注意点

これまで資産分散と時間分散について解説してきましたが、それを代表する「ドル・コスト平均法」が万能な投資手法なのかというと、必ずそうではありません。

それは、「損失を防止する投資方法ではない」ということを認識する必要があります。

リスク低減効果があるとはいえ、すでに保有しているもののリスク軽減の効果はないので、リスクの過小評価につながりやすくなります。

例えば、価格が下落し続けている場合、マイナスになる可能性もゼロではありません。この場合、安いうちに一括で購入した方がリターンは大きくなるため、運用期間の終わりが見えてきたタイミングで、他の資産に移し替えるなどの対策が有効になります。

また、あくまで分散投資は「短期的に大きく稼ぐというよりは、リスクを抑えながら長期間で運用益を期待する」という意味合いが強い手法です。

そのため、投資の世界でリスクを下げるためには、複数の資産を組み合わせるだけでなく、値動きが異なる資産、つまり、「相関が低い」資産を組み合わせる必要があります。相関の低い資産の組み合わせなであれば、2つの異なる資産でもリスクを十分に下げることが可能です。

相関の強弱

「相関」とは、統計学の概念で、異なる2つの類似性の度合いを表したもので、それを数値化したものを「相関係数」と言います。

相関係数は1からマイナス1の範囲で表され、相関係数がプラスであれば、1に近づくほど資産どうしの連動性が強くなり、資産価格が同じ方向に動きます。一方、相関関係がマイナスならば、逆の方向に動きます。つまり、マイナス1は、全く逆の動きをするという意味です。

よって、より多くのカゴに卵を入れ、卵が割れるリスクを抑える際には、この「相関関係」が1つの指標として機能します。

一般的に、債券と株式は相関関係が低い、つまり反対の値動きをするとされています。下の表は、年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund,GPIF)が適用するポートフォリオ策定の際に使った相関係数です。

  国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
国内債券 1.000      
外国債券 0.290 1.000    
国内株式 -0.158 0.060 1.000  
外国株式 0.105 0.585 0.643 1.000

まとめ

今回は、分散投資について取り上げてみました。

一攫千金もいいとは思いますが、様々な投資手法を知ることも重要です。

学んでいくなかで「自分なりの投資」を発掘していきましょう。

本記事が少しでも参考になれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました